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2022-11-29 相続放棄をしたいが次の順位の相続人に迷惑をかけたくない(限定承認)

私は一人っ子なのですが、母が死亡し、父といっしょに自宅にある書類を整理しようとしたところ、クレジットカード会社やローン会社からの郵便物が複数あることがわかりました。
母にはめぼしい財産は無いため、相続放棄をすればよいと思ったのですが、そうすると次の順位の相続人である母の兄弟姉妹に相続権が行くことになり、 迷惑をかけてしまいます。私と父のみで母の相続の手続を終わらせる方法はないでしょうか。


相続の方法

人が亡くなり相続が発生した場合、相続人は、次のうちから相続方法を選択できます。

  1. 通常どおり相続をする「単純承認」
  2. 相続人の立場から下りる「相続放棄」
  3. プラスの財産の範囲に限定してマイナスの財産を引き継ぐ「限定承認」

相続放棄をした場合、相続権はどうなるか

相続放棄をした場合、放棄をした人は、はじめから相続人ではなかったことになります。
本件の場合、ご相談者の母の相続人は父と自分1名であるところ、父と自分が相続放棄をすると、(母の父母や祖父母が既に死亡していれば)母の相続人は母の兄弟姉妹ということになり、 兄弟姉妹が相続人として上記のうちから相続方法を選択しなければなりません。

本件の場合、母には債務が多いことが明らかですので、相続放棄をしたことを母の兄弟姉妹に伝えれば、おそらく兄弟姉妹は相続放棄を選択することになるでしょう。

次順位の相続人との関係

本来、相続放棄をするかしないかは相続人個人の自由ですが、相続放棄をすることにより結果的に次の順位の相続人に手間と費用をかけさせてしまうのは避けたいと 考える方もいらっしゃいます。

このような場合に、次順位の相続人に相続放棄をした(またはする)ことを伝え、費用は自分が持つので相続放棄をするように勧める方法が考えられます。
ただ、特に付き合いのあまり無かった方に伝える場合、本当に自分に不利益は無いのかと怪しまれたり、 相続放棄を破産のようなものと勘違いして「勝手に相続放棄して私に相続放棄をさせるとは何事だ」と責められたりするようなケースもあります。

また、亡くなった方が多くの債務を抱えていたという事実を親族に知られたくないという場合もあるでしょう。

相続の限定承認

相続放棄をすると、どうしても次順位の相続人に影響が出てしまいますが、限定承認の場合には、現在の相続人のみで相続の手続きを終わらせることができます。

限定承認は、亡くなった方の負債(借金やカード払いの残金、未払いの公共料金など)を、亡くなった方の財産(現預金、自動車、不動産など)の範囲内のみで支払い、 清算する手続です。相続人が亡くなった方の負債のために自らお金を出して支払う必要はありません。

本件の場合、相続人全員である父と子とで、母死亡から3か月以内に「相続の限定承認の申述書」を戸籍謄本や財産目録等の必要書類とともに家庭裁判所に提出し、 受理の審判を得ることになります。

相続の限定承認の受理審判後の手続き

相続放棄の場合は、家庭裁判所で受理審判がされれば手続は終了なのですが、 限定承認の場合は、受理審判後、亡くなった方の財産の清算手続が必要になります。具体的には次のような手続を、 相続人(相続人が1名の場合はその方、2名以上の場合は相続人の中から裁判所が選任した相続財産管理人)が行わなければなりません。

  1. 債権者に対する請求申出の官報公告と個別の催告
  2. 相続財産の管理・処分(売ってお金にする)
  3. 申出のあった債権者等への弁済
  4. 申出のあった債権者等への弁済後に残った財産の分配

相続の限定承認申述書の作成並びにその後の手続きのご依頼は司法書士へ

相続の限定承認の手続きは、故人の財産を調査した上で家庭裁判所に申述書を提出したり、 官報公告手続を経て債権調査・配当の計算等をし債権者とやりとりをする必要があり、 相続放棄と比べて非常に複雑です。
裁判所提出書類の作成や財産管理業務の専門家である司法書士にご依頼ください。

相続の限定承認の費用の一例(相続人の数、遺産の内容等により異なります)
実費※ 約7万円
司法書士報酬 33万円
合計 約40万円 
※官報公告料約5万円のほか、債権者との通信料、裁判所への予納郵券、印紙代、戸籍謄本発行手数料など

当事務所では、初回のご相談は無料です。お気軽にご連絡ください。

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最終更新日: 2022/11/29
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