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2017-08-22 相続人が妻と未成年の子である場合の相続手続き

夫が死亡しました。妻である私・花子と、夫と私との間の子・太郎(未成年)、次郎(未成年)が相続人です。夫名義の家や預金があるのですが、手続はどのようにしたらよいでしょうか?

遺産分割協議をする場合、家庭裁判所に特別代理人を選任してもらう必要があります。

相続人が複数おり、遺言が無い場合には、相続人で話し合って、亡くなった方の財産の分け方を決めます。これを、遺産分割協議といいます。

未成年者は、遺産分割協議に参加することができず、法定代理人(法律で代理人と定められた者)が未成年者の代わりに遺産分割協議に参加することになります。

未成年者の法定代理人は、親権者(父母)です。

そうなると、この事例では、花子さんと、太郎さんの法定代理人である花子さん、次郎さんの法定代理人である花子さんが話し合いをすることになるのでしょうか?
つまり、花子さん一人で遺産分割協議をするということで良いのでしょうか?

結論から言いますと、花子さん一人で遺産分割協議をするのではなく、 太郎さんと次郎さんそれぞれに、特別代理人という人をつけ、 花子さん・太郎さんの特別代理人・次郎さんの特別代理人の3名で遺産分割協議を行うことになります。 そうしないと、不動産名義変更のための登記申請は受け付けてもらえませんし、銀行預金の相続手続きもできません。

特別代理人は、未成年者の住所地の家庭裁判所に申し立てをすることで、家庭裁判所に選任してもらいます。

親が子の代理人として行う行為が親の利益になり子の不利益になる、あるいはその逆のような場合のことを 「親と子の利益が相反する」といい、このような行為を利益相反行為といいます。 この事例のように、妻と未成年者である子との間で遺産分割協議をすることは、その典型例です。

遺産分割協議にあたり、親の取り分を多くすれば子の取り分が少なくなりますし、子の取り分を多くすれば親の取り分が少なくなりますから、 子の代理人に親がなってしまうと、公平な判断がしにくくなります。

ですから、第三者である特別代理人に入ってもらい、遺産分割協議をする事になっています。
特別代理人には、相続人でなければ誰がなってもよく、相続に関係のない親族(おじ、おば、祖父、祖母など)になってもらっても構いません。

特別代理人選任申立の方法

特別代理人選任申立をするには、申立書に遺産分割をしたい旨と特別代理人候補者を記載の上、戸籍謄本や遺産分割協議書案とともに家庭裁判所に提出します。

なお、遺産分割協議書案の内容は、原則、未成年者である子に法定相続分以上を与える内容でなければ認められません。 例えば、妻が自宅不動産全部を相続するのであれば、子に法定相続分相当の預金を相続させたり、妻から子に代償としてお金を渡す、 あるいは生前に子がいくらか財産を貰っていたことを説明するなど、 家庭裁判所が納得するような遺産分割案を作成する必要があります。

司法書士は、特別代理人選任申立書の作成、不動産の名義変更の代理などで、総合的に相続人が未成年者であるケースの相続のお手伝いをすることができます。

特別代理人を選任しなくても良い場合もあります

次のような場合には、特別代理人を選任しなくても、相続手続きを進めることができます。
未成年の子全員が特別受益者にあたる場合

未成年の子が、既に、亡くなった人から法定相続分以上の贈与や遺贈(遺言で贈与をすること)を受けている場合には、 もうもらえる相続分はありません。

「共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、 被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし」(民法903条第1項)て、 相続分を計算することになるからです。

例えば、今回の事例で、被相続人が亡くなった時の財産合計額が1000万円で、 太郎さんと次郎さんが生前にそれぞれ1500万円を被相続人から生計の資本として贈与されていた場合、 相続財産は1000万円+1500万円+1500万円=4000万円とみなされ、法定相続分は妻2分の1、子全員で2分の1ですので、 花子さんが2000万円(2分の1)、太郎さん1000万円(2分の1×2分の1)、次郎さん1000万円(同)となります。

そうなりますと、太郎さんと次郎さんは既に1000万円以上のお金(1500万円)を受け取っているのですから、相続分はありません。

このような場合には、未成年者自身もしくは未成年者の法定代理人が作成した「相続分がないことの証明書」(特別受益証明書)を登記申請書に添付することで、 不動産の相続による花子さんへの名義変更の手続きを行うことができます。この証明書には、作成者の実印の押印と印鑑証明書の添付が必要ですので、 未成年者が印鑑を登録できない年齢である場合には、法定代理人が代理で作成し、法定代理人の印鑑証明書を添付します。

今回の事例で、花子さんが法定代理人として太郎さんと次郎さんの「相続分が無い事の証明書」を作成することは可能です。 単なる事実の証明であって、利益相反行為ではないと判断されるためです。

ただし、銀行の預金の相続手続きの場合には、このように「相続分がないことの証明書」を提出して手続きを進めることはできず、 特別代理人の選任と遺産分割協議を求められることになります。

また、特別受益者にあたるかどうかの条件に「生計の資本として」というものがあります。 例えば、親から子に仕送りをしたり、特定の子にだけ大学の学費を出したりというケースが生計の資本としての贈与に当たるかどうかですが、 「扶養義務の範囲内で、特別受益に当たらない」と判断されることも多いようです。 安易に「相続分がないことの証明書」を作成しないよう、注意が必要です。

特別受益の問題が絡む不動産相続に関しては、法律と不動産登記の専門家である司法書士にご相談ください。

親子全員で相続放棄をする場合

この事例で、親である花子さんと未成年の子である太郎さん・次郎さんが全員で相続放棄 (家庭裁判所に、被相続人の財産は一切要らない旨申述し、受理してもらうこと)をする場合には、 花子さんが太郎さん・次郎さんの法定代理人として、相続放棄をすることができます。

未成年者の親が相続人でない場合

「相続人に未成年者がいる場合に遺産分割協議をするには必ず特別代理人を選任してもらわなければならない」と思っている方もいらっしゃいますが、 そうとは限りません。

今回の事例とは異なりますが、未成年者のみが相続人であり、その親が相続人でないこともあり得ます。

例えば、父A・母B・子X・Aの未成年の婚外子Y(認知済、母Z)がおり、Aが亡くなった場合、B・X・Yの親権者Zの3名で遺産分割協議をすることができます。

なぜなら、ZはAの相続人ではなく、Yと利益相反の関係には無いからです。

この他、父が亡くなり、既に子が亡くなっていたため母と孫が相続人である場合に、亡くなった子の配偶者は孫の親権者として遺産分割協議に参加することができます。

未成年者が成人するまで待って、遺産分割協議をする場合

この場合は、もちろん、相続人全員が遺産分割協議に参加することができます。急ぐ必要が無く、もうすぐ子の全員が成人するのであれば、 それまで待つのも一つの方法です。ただし、相続人の中に高齢者がおり、あまり待ちすぎると認知症等で意思表示がしにくくなることが懸念される場合には、別途考慮が必要になります。

相続手続は司法書士にご相談ください

上記のように、相続手続には様々な法律や制度が関わっており、ご関係者の状況により対応方法は様々です。
初回相談は無料ですので、まずは、司法書士にご相談ください。

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最終更新日: 2018/08/05
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