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2017-08-24 父と離婚した母に養子がいた。子の無い私の死亡時の相続人は?

私・花子は結婚していますが子供はおりません。両親は物心つく前に離婚し、一人っ子の私は父に引き取られました。 母(X)とは音信不通の状態でしたが、この度、母の配偶者(Y)だという人から、母が亡くなったとの連絡が来ました。 母は再婚し、その配偶者の実子を養子にしていました。 亡くなった人に子供がおらず、両親も祖父母も亡くなっている場合、財産は配偶者ときょうだいが相続すると聞いたのですが、 私が死亡したら、私の遺産はこの養子(A)にも相続されるのでしょうか?

離婚・養子縁組と法定相続人

相続関係説明図

親族の関係を図に整理すると、このようになります。

まず、Xさんが死亡した場合の相続人を考えてみます。法律のきまりでは、亡くなった人の配偶者は必ず相続人になり、 それに加え、(1)子や孫、(2)子や孫が居なければ親や祖父母、 (3)親や祖父母がいなければ兄弟姉妹(いなければその子。おい、めい)の順に相続人になります。

ですから、亡くなった人に配偶者と子がいる場合、その両方が相続人になります。

したがって、まず、配偶者であるYさんは、相続人にあたります。

次に、花子さんはどうでしょうか。両親が離婚したことにより親子関係が途切れるということはありませんので、いくら花子さんが父に引き取られたといっても、 花子さんがXさんの子であることに変わりはありません。したがって、花子さんもXさんの相続人です。

では、Aさんはどうでしょうか。XさんはAさんと養子縁組(法的な親子関係をつくることを役所に届け出ること)をしています。 養子は、養子縁組の日から、養親の実子と同じ身分を取得します。

したがって、XさんはAさんの子として扱われますので、AさんもXさんの相続人です。

仮に、XさんとAさんが養子縁組をしていない場合には、AさんはXさんの遺産を相続することができません。 Yさんと結婚したことでYさんの子であるAさんが自動的にXさんの子になることはありませんので、 法律上の親子であると主張したい場合には、注意が必要です。

養子縁組ときょうだい

相続関係説明図

それでは、この後、花子さんが死亡した場合にはどうなるのでしょうか。

結論からいいますと、この事例では、花子さんが死亡した場合、Aさんにも遺産の取り分があります。

既述のとおり、法律のきまりでは、亡くなった人の配偶者は必ず相続人になり、 それに加え、(1)子や孫、(2)子や孫が居なければ親や祖父母、 (3)親や祖父母がいなければ兄弟姉妹(いなければその子。おい、めい)の順に相続人になります。

花子さんには子がおらず、両親も既に亡くなっておりますので、花子さんの配偶者と兄弟姉妹が相続人になります。

花子さんの配偶者である一郎さんは、当然相続人にあたります。

そして、既述のとおり、Aさんは花子さんの母であるXさんの子として扱われますので、花子さんの兄弟ということになり、やはり相続人にあたります。

図を見れば、花子さんもAさんも、同じ母(Xさん)を持つことは明らかですので、 これをお読みのみなさんは、特に疑問には思われないかもしれません。

しかし、花子さんからしてみれば、ずっと会っていない母がどこで何をしているか、再婚したかどうかなどは分かりません。 その結果、会ったこともなく血のつながりさえないAさんが兄弟だと突然言われることになり、 心情的にはなかなかピンと来ませんし、もし自分が亡くなったら遺産をもらう権利があるだなんて、 受け入れがたい事ではないでしょうか。

両親が離婚や再婚をしている場合には、「自分には会ったことの無い兄弟姉妹がいるかもしれない」ということを念頭に置く必要があります。

兄弟姉妹相続と遺言

相続関係説明図
兄弟姉妹相続の問題点

「子のいない人は、遺言を遺した方がいい」と聞いたことは無いでしょうか。

これは、子がいない場合に、兄弟姉妹に相続権が発生すると、話し合いがまとまりにくい場合があることに起因しています。

例えば、こちらの図で、Yさんが死亡した場合は、妻と兄・姉が相続人になります。 妻がYさん名義の自宅不動産を全てもらいたいと考えたとします。兄と姉が同意をしてくれ、必要な書類に実印を押してくれればよいのですが、 「権利があるのだから財産を分けてほしい」という兄・姉がいるかもしれませんし、兄・姉が納得しても、その配偶者がそのように口出しをするかもしれません。

遺産を分ける話し合いをするには、相続人全員の同意が必要です。一人でも反対する人がいると、まとめることができません。 特に、頭書の事例(離婚後の子)のようなきょうだいがいる場合、簡単には話し合いに協力してくれないかもしれませんし、 そもそも探し出すのが大変な場合もあります。

どうしても財産を分けてほしいと主張され、不動産のほかに現預金等の遺産が無い場合には、 故・Yさんの自宅不動産を売って、相続人同士で分けるしか方法が無くなるかもしれません。

配偶者と子が相続人である場合でもそのような状況は起こり得ますが、 親の家を奪ってまで財産を要求するケースは起こりにくいのではないでしょうか。

遺言

このような事態を回避するためには、遺言を遺すという方法があります。

この図のケースでは、Yさんが「自分の全財産を妻に相続させる」旨の遺言を遺しておけばよいのです。

兄弟姉妹には遺留分(法律で最低限相続できると定められている取り分)はありませんから、 Yさんの兄・姉はこの遺言の内容に対して遺留分を主張することはできません。

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司法書士は、遺言執行者(遺言者が亡くなった後、遺言の内容を実現するために動く人)に就任したり、 遺言に関するご相談をお受けすることができます。

遺言を遺さず亡くなった場合の問題点や、どのような内容の遺言を遺すべきかなど、 それぞれの方のご実情に合ったアドバイスをさせていただきます。

どこから考え始めたほうが良いかわからず、お一人で悩んでしまう方もいらっしゃいますが、 初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。

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最終更新日: 2019/11/26
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